2003年4月1日
| 食品の第一の機能は栄養機能です。しかし、その他に免疫機能を高めたり体調のリズムをバランスよく調整するなどの機能のあることが判ってきました。 厚生労働省は2001年4月に、こうした機能をもつ食品を保健機能食品として制度化しました(図1)。 |
| 保健機能食品 | |||
| 医薬品 (医薬部外品を含む) |
特定保健用食品 (個別許可型) |
栄養機能食品 (規格基準型) |
一般食品 (いわゆる健康食品を含む) |
| 特定保健用食品は乳酸菌飲料や食物繊維入り食品など特定の効果が科学的に証明されたもので、保健用途の表示ができます。栄養機能食品はビタミンやミネラルなど、体内での働きが明かな栄養素が一定量以上含まれる食品をいい、栄養成分の機能表示ができます。 一方、健康食品についてはこれらの表示はできません。しかし脳卒中後遺症や痴呆の治療に効果かあるとされ、ドイツでは医薬品として用いられているイチョウ葉エキスや、抗うつ作用があるとされているセイヨウオトギリ草(セント・ジョーンズ・ワート)などは日本では健康食品として販売されています。 この健康食品に属するアガリクス茸が最近癌の補完療法に用いられ注目を集めています。 補完療法 近代的治療法を補う療法補完療法といいます。癌の場合でいえば、固形癌(胃、肺、直腸などの癌)外科的手術が第一の治療法であり、転移を伴う進行癌や白血病などでは、抗がん剤による化学療法が主な治療法になります。しかし、化学療法によっても十分なな効果を期待できない場合があることから、化学療法や放射線療法によって癌細胞を叩くとともに、免疫賦活剤を併用して患者の免疫能を増強し、免疫学的抗腫瘍効果を高めようとするのが癌の補完療法です。 癌の補完療法に使われる薬剤 溶連菌製剤ピシバニール、シイタケの子実体から抽出した抗腫瘍多糖体レンチナン、カワラタケ菌糸体から得られる多糖体クレスチンなどがあります。これらの薬剤は、化学療法あるいは放射線療法との併用による効果の増強、生体防御機構の賦活による抗腫瘍効果が認められます。 アガリクス アガリクスはブラジル東南部の山地に自生する「はらたけ科はらたけ属」に属する茸で、学名 をAgaricus Blazei Murillといいます。 1965年に日本にもたらされ、三重県津市の岩出菌学研究所で1975年に人工栽培に成功し、ヒメマッタケ(通称)と名付けられました。 ◎化学成分 ヒメマッタケの化学成分は表1のとおりで、乾物では蛋白質、糖質が多く含まれています。ビタミンとしてはV.B1、V.B2、ナイアシン、V.D前駆体のエルゴステロールなどが含まれ、ミネラルは栽培法により異なりますが、カリウムが全体の60%以上を占め、燐、ケイ素、マグネシウムなど11種類が含まれると報告されています。 一方、脂質についてはリノール酸を主体とする不飽和脂肪酸含有量が70%以上と高く、その抗腫瘍活性や抗血栓活性などが注目されています。 ◎抗腫瘍活性 多糖体:生あるいは乾燥ヒメマツタケからβーグルカゴン、αーグルカゴン、βーガラクトグルカゴンなど6種類の顕著な抗腫瘍活性を示す多糖体が精製され、その化学構造が明らかにされています。子実体と菌糸体からの抽出物およびその培養ろ液から得た多糖類をSarcoma180 移植マウスの腹腔内に投与し、表2に示す結果が報告されています。 A脂質:乾燥ヒメマツタケ脂質画分の抗変異原性の検討によれば、ヒメマツタケ子実体には不飽和脂肪酸のリノール酸が多く含まれ、このリノール酸が抗変異原物質として作用することが報告されます。 なお、新鮮なヒメマツタケにはリノール酸が少なく、保存期間中に増加する傾向があり、これは保存中に油脂成分のエステル結合が分解し生成するものと考えられています。また、ヒメマツタケの子実体に含まれるリノール酸、オレイン酸、ステアリン酸を構成成分とする脂質画分を マウス腹腔内に投与しEhrlich腹水腫瘍の完全退縮を伴う効果を認めたとの報告もあります。 Bその他の成分:ヒメマツタケの子実体からは6種のステロイド、糖蛋白で赤血球凝集素の2種 のレクチンが分離されています。このうち3種のステロイドに子宮頚癌細胞の増殖阻止作用がみられていますが、レクチンには顕著な抗腫瘍活性はみられていません。 |